ALS患者を「安楽死」させた医師らが逮捕

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京都府警は23日、宮城県名取市でクリニックを営む仙台市の医師、大久保愉一容疑者(42)と東京都の医師、山本直樹容疑者(43)を嘱託殺人の容疑で逮捕した。

二人は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という、脳から筋肉への指令が伝わらなくなる進行性の難病を患った女性に致死薬を与え死亡させたとして逮捕された。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは?

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は前述の通り、徐々に脳から筋肉への指令が伝わらなくなる難病だ。

運動をつかさどり筋肉を動かす神経が障がいを受けることで手足の筋肉や呼吸器を動かす筋肉が徐々に動かなくなっていく。

全員や発症の仕組みについては現在に至るまで解明されておらず、根本的な治療法が確立されていなため、感知するための治療ではなく、進行を遅らせるための治療が行われている。

なお現在日本国内にALSの患者は約1万人いるとされている。

今回の事件の概要

捜査関係者の話では、逮捕されたうちの一人山本容疑者の口座には女性名義で100万円以上の現金が振り込まれていたという。

なお二人は女性の担当医ではなく、女性と医師は会員制の交流サイトで知り合い、そのサイトを通じて大久保容疑者に殺害を依頼、金銭目的で殺害を請け負った可能性が高いとみられている。

 

事件が発生したのは2019年11月、京都市内の女性の自宅マンション。

当時女性はALSの症状が進行し、話すことはできるものの体はほとんど動かせない状況だったという。

女性の家にはヘルパーが来ており、事件当日もヘルパーがいたものの、女性はヘルパーに「知り合いが来る」と伝え二人の医師を自宅に招き入れた。

二人が部屋を後にしたのは約5分から10分後だったが、その後別室から女性の部屋にヘルパーが戻ると、女性が意識不明の状態になっていた。

その後救急車で病院に搬送されたものの、搬送先に病院で死亡が確認されている。

過去にも医師による安楽死が

今回のように医師によって患者の死期が早められた事件が過去にも起きている。

平成以降、少なくとも8件が殺人の疑いで書類送検されており、そのうち2件で起訴され有罪判決が確定している。

 

そのうちの1件は、平成3年に東海大学附属病院の医師が末期がんの患者に塩化カリウムを投与し死亡させた事件だ。

患者の家族から「楽にさせてやってほしい」と頼まれて実行に移したものの、最終的に殺人の罪で起訴され執行猶予がついた懲役2年の有罪判決を受けた。

裁判では、「死期が迫っていること」「耐え難い苦痛があること」「治療を尽くしていること」「患者本人の明確な意思表示があること」という4つがそろわなければ「積極的安楽死」に該当しないとの判断だった。

日本と世界の安楽死

日本では、医師が回復の見込みがない患者に死期を早める措置を行う「安楽死」は、「積極的安楽死」と「消極的安楽死」の2つに分けられている。

「積極的安楽死」は患者を死亡させるために致死量の薬物を直接投与したり、医師が薬を処方したりするが、いずれも日本の法律では認められておらず、「殺人」「嘱託殺人」「承諾殺人」などの罪に問われる。

 

一方の「消極的安楽死」は、患者の意思に基づいて延命措置を中止するものである。消極的安楽死については、国内の医療現場では事実上認められている。

尚、今年の5月に日本医師会が改訂した「終末期医療に関するガイドライン」において、可能な限り苦痛を緩和する医療ケアを行うことを前提に、患者が延命を望まない場合には、医師が本人や家族と繰り返し話し合いを行うなど、十分な手続きを経ることで延命治療を中止できると記載されている。

日本国内においてこの「積極的安楽死」は「尊厳死」とも呼ばれており、「日本尊厳死協会」が法律で手続きを定めるように求めているものの、尊厳死へ反対する声も多く、議論は平行線だ。

 

一方でオランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、コロンビアでは安楽死が認められている。

現在日本で安楽死が認められていないことから、安楽死をするために海外に行く人もいるのが現実だ。

安楽死の今後

安楽死に関しては、病気で苦しみたくないという想いの他にも、中には自身の最期を自分で決めたいという想いを持っている人もおり、その答えを出すことは非常に難しい。

死生観について人によってあらゆる考え方があるからこそ、多様な選択肢が求められているのかもしれない。

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