帝国データバンクが8月3日の11時までに確認したデータによると、新型コロナウイルス関連の倒産が全国で400件を超えた。
今回「倒産」に該当するのは、法的整理または事業停止をした事業者で、負債1,000万未満が基準となっており、個人事業主も含まれる。
都道府県別にみると、東京都が95件、業種においては飲食店が54件と最多となっている。また負債額5億円未満の事業者が79.2%を占め、その多くが中小零細企業であった。
止まらない新型コロナウイルス関連の倒産
新型コロナウイルス関連の倒産が全国で一番最初に確認されたのは、2月26日に北海道栗山町で確認された北海道三富屋(株)であった。
以降確認ベースでの累計倒産件数は4月27日(第一号案件確認から61日後)に100件、6月1日(第一号案件確認から96日後)に200件、6月30日(第一号案件確認から125日後)に300件と推移してきた。
月別に倒産発生件数を見ていくと、発生日は2月1件、3月17件、4月89件、5月86件、6月121件、7月86件と6月が最多であった。法的整理のみを見ても6月が106件と最多である。
負債総額に関して、調査中を除く385件の合計が2,394億8,500万円で、その内訳として5億円未満が全体の79.2%である305件であった一方、100億円以上の大型倒産は全体の0.8%の3件にとどまった。
都道府県別の発生件数では、東京都が95件と最多で、次いで41件の大阪府、23件の北海道、19件の静岡県、兵庫県、18件の愛知県、13件の神奈川県と続く。東京都と大阪府の身で全体の約34%を占めていることがわかる。
倒産が発生しているのは44都道府県であった。
なお新型コロナウイルス関連の倒産とは、事業者や代理人が倒産の原因に新型コロナウイルスが含まれていることを認め、法的整理または事業停止となった場合を対象としている。
今回発表された数字は個人事業主や負債額1,000万円未満の倒産も含まれているほか、法的整理日を発生日としてカウントしているため、事業停止後に法的整理に移行した場合は、法的整理日を基準にカウントしている。
苦境に立たされる飲食業界
引き続き苦境に立たされている飲食業界だが、東京都で8月3日から酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対して、営業時間の短縮要請が出ることから、飲食業界における新型コロナウイルス関連の倒産がさらに広がることが予測されている。
営業時間の短縮要請に伴い、東京都では一律20万円の協力金を支給する予定ではあるものの、東京都の家賃や人件費の高さを考慮すると20万円で1か月乗り切るのは非常に難しい。
緊急事態宣言が解除されて以降、戻ると期待されていた客足が以前遠のいたままであることを鑑みると、これから先の見通しが一向に立たず、事業停止を決断し、倒産や廃業を決める事業者も増加することが予測される。
変わりゆく飲食業界
このような事情を背景に、飲食業界では客層や人気メニューに変化が生まれている。
客層としては宴会が自粛されていることから、団体客が減少し数人で訪れる個人客の割合が増加しているだけでなく、仕事関連の飲み会を自粛する企業が多い。
よって仕事後の飲み会などで訪れる顧客よりも、家族や親しい人と訪れる人の割合が増えているという。
店内で人気のあるメニューも、家では楽しむことが難しい生ビールや高級な食材を使ったメニューなどが注文されることが多くなった店舗もあり、これまで気軽に飲食店で飲み食いしていたもののそれが難しくなり、「家飲み」では満たせないニーズを飲食店で満たす人が増えていることがわかる。
またお店によっては、店員のマスクの着用やアルコール消毒の徹底といったスタッフ側の感染症対策とは別に、できるだけ接触を減らす取り組みも始められている。
東京都八王子市にある焼き肉店「焼肉あおやま」では、店内に掲示されているQRコードを読み取り、その先からモバイルオーダーを実施、スタッフとの会話を減らすことで接触機会を減らすだけでなく、メニューやタッチパネルに触れる機会を減らすことで、顧客同士の接触機会を減らすこともできる。
顧客の間では感染症対策がなされているかがお店選びの重要なポイントの一つになりつつある。
少し前までは換気やアルコール消毒、店内衛生といった部分が注目されていたが、それを超える新しい感染症対策に取り組む飲食店は少なくない。
依然厳しい状況に立たされている飲食店だが、店舗側も顧客側も対策を十分に行うことで感染リスクを抑えながら食事を楽しむことができるようになるのではないだろうか。
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