アメリカのトランプ大統領は、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」のアメリカでの利用を禁止する命令を出すと発表していた。
これに対しMicrosoftはTikTokの買収を表明。トランプ大統領はこのことを条件追記で容認した。
アメリカでのTikTok禁止
すでにアメリカ議会上院の国土安全保障・政府活動委員会連邦にて、政府職員が政府から支給された端末で本アプリを利用することを禁止する法律が全会一致で可決。
それに続き、アメリカ国内での禁止についても書類に署名すると発表していた。
アメリカでTikTokの利用について禁止が検討され始めたのは、利用者の個人情報が中国政府に悪用される恐れがあるなど、アプリ上の個人情報の取扱いに関する安全保障上の懸念が背景にある。
このままTikTokがアメリカで禁止されると、TikTokの親会社である中国の大手企業、北京字節跳動科技(バイトダンス)の国際展開に大きな打撃を与えることとなる。
一方でTikTok側は「うわさや憶測にはコメントしない。ティックトックの長期的成功を確信している」と発表している。
MicrosoftのTikTok買収
トランプ大統領がTikTokの禁止を発表した7月末には、Microsoftや他のアメリカ企業によるTikTokの買収について支持しない意向を示し8月1日には禁止令を出すことを表明していたものの、その考えを修正。
現在はMicrosoftやそのほかのアメリカ企業が買収することについて「構わない」という姿勢を示している。
またトランプ大統領は2日にMicrosoftのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)と協議を行い、Microsoftが買収を実現したら価格の大部分がアメリカ財務省に入ることを条件とした。
さらにトランプ大統領は「安全保障の理由から中国にコントロールさせることはできない」ことを強調したうえで、アプリをとおして個人情報が中国政府に漏れる危険性への懸念を表した。
また中国の影響を抑えるために、アメリカの企業が中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)のアメリカにある子会社を買収する場合には、少額の出資ではなく、全株式を取得することも条件として挙げた。
Microsoftは2日にはTikTokの買収について検討していることを正式に発表。
買収により、アメリカだけでなく、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業を引き継ぎ、9月15日までに交渉を完了させることを目指しているとの期限も提示した。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)はトランプ大統領との協議について、大統領の懸念に対応する重要性を認識していると政権の意向を聞き入れる考えを示している。
トランプ大統領はこれに対し、Microsoftの買収が成立しなければ、9月15日までにTikTokの国内利用を禁止することを表明している。
これは利用禁止という強硬策を出しながら一定の猶予期間を設けることで、アメリカに有利な条件を引き出す宅だという考えもある。
トランプ大統領が姿勢を変えたことで、Microsoft以外の企業や投資家も買収に名乗り出る可能性もある。
日本の動き
アメリカでの動きを受けて、日本でもTikTokの利用を制限する動きが見られている。
7月28日には自民党内にある「ルール形成戦略議員連盟」という会において、TikTokの使用制限を求める提言をまとめる方針であることがわかった。
これはアメリカ共和党の移行に同調したものだが、実際に利用が制限されたり、禁止されたりするのが、具体的な話は一切行われておらず、現段階で日本でTikTokの利用が制限、禁止される可能性は高くなさそうだ。
インターネットが発達し、スマートフォン普及したことで、私たちを取り巻くネット環境は年々複雑化してきている。
ネットリテラシーがより必要性を増しているこの時代だからこそ、利用するアプリや、流れてくる情報の信ぴょう性は自身で判断する力が求められているのかもしれない。
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