新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、「3密」を避けつつ事前を満喫できるアウトドアの需要が高まっている。
冷え込む観光業界の中でもアウトドアが人気
新型コロナウイルスの感染拡大の影響が大きかったり、Go To トラベルの結果が芳しくなかったりと、苦境に立たされている観光業界だが、その中でもアウトドア業界は人気を博している。
施設側が宿泊施設や食事などに使う道具を全て用意し、豪華な施設、食材でキャンプを楽しむことができる「グランピング」の予約は連日埋まっているという。中には2か月待ちという施設もある。
キャンピングカーのレンタル需要も高く、例年に比べて売り上げが増加している。
グランピング施設の中でも、群馬県・四万温泉にある「温泉グランピング・シマブルー」(中之条町)では、全7部屋の9月から10月の予約はほぼ満室だ。
運営会社の関良則社長(55)は「今までにない勢いで問い合わせが来ている」と話している。
各部屋には露天風呂が設けられており、客室でバーベキューが楽しめるという魅力があり、関良則社長は「食事や入浴時にもほかの顧客とすれ違うことがなく、3密を気にすることなく自然を満喫できる部分が好まれているのでは」と指摘している。
白熱するキャンピングカー熱
アウトドア熱が波及しているのがキャンピングカー業界だ。
キャンピングカーのレンタル事業を営む「キャンピングカー株式会社」では今月の売上が前年同月と比較して120%になったという。
4月は緊急事態宣言の発表や、県をまたぐ外出の自粛要請の影響を受け前年同月と比較して15%まで下がったが、6月以降は国内客や日本在住の外国人利用が増加し始めている。
利用期間や利用客は減少しているものの、東京や大阪から出発する人が増加し、関東では群馬県や千葉県、関西では京都府など、中心部から2時間ほどで行ける目的地が選ばれる傾向にある。
キャンピングカー株式会社の担当者は、「友達を誘わず家族で公共交通機関を利用せずにでかけたいというニーズが増加している」と話す。
キャンピングカーは新幹線や飛行機といった公共交通機関を使い移動していた人にとって新しい交通手段として注目を浴びていると指摘した。
その人気を反映しているかのように、30日まで東京のお台場では都心にいながらキャンプ気分を味わえる「アウトドアフェア」が開催されている。
イベントの目玉は、屋外に設けられたテントで楽しめるグランピング体験だ。このアクティビティには土日を中心に家族連れが訪れているという。
実際に会場に訪れた人は、夏休みになったものの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、旅行のみならず帰省ができないことに触れ、アウトドアであれば屋外での活動であるため安心でき癒されると話している。
さらにホテルであれば3密に注意しなければならないものの、外であればその心配がないからやってみたいという声もある。
広島ではキャンピングカーの展示会が
広島では22日からキャンピングカーを集めた展示会が開催されている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アウトドアの人気の高まりを受けて開催された。
広島市西区で開催されているイベントには、大型のキャンピングカーから軽自動車を改装した手軽なキャンピングカーまで、あらゆる種類のキャンピングカーが60台ほど展示されているという。
中には一見するとワンボックスタイプの車に見えるものの、中にはテレビやキッチンといった生活に関する道具がそろったリビングのような空間が広がっている。さらに座席を組み替えることでベットに変わる。
こういった車は30代から40代の現役世代への需要が高まりつつあり、ファミリーで利用しながら普段使い用の車として利用できるタイプの人気が高い。
交通機関や宿泊施設といった観光業界が落ち込んでいるものの、現状を反映させたアクティビティや旅行の形が人気を博している。
旅行に関する価値観や、お金を支払う「コト」への考え方が次第に変わってきている。
「Withコロナ」、「ニューノーマル」といった言葉があるように、これからの観光はどのようにコロナと共存していくかを考えなければいけないのかもしれない。
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