短編動画投稿アプリである「TikTok(ティックトック)」がアメリカ事業においてオラクルと提携することで同意した。
しかし実際に提携するには国家安全保障上の審査を通過するのみならず、トランプ大統領の承認を得る必要もあるという。
アメリカにおけるTikTokの事業提携
14日、ムニューシン財務長官はTikTokとオラクルの提携について、対米外国投資委員会(CFIUS)と商務省が今週それぞれ審査を行うと述べた。
CFIUSは国家安全保障上のリスクを審査、トランプ大統領に勧告を行うという。これを受けて大統領は最終決定を下すことになる。
ムニューシン財務長官によると、最終的に取引が成立すれば、TikTokの国際事業統括会社がアメリカに設けられ、2万人を雇用。
トランプ氏が再選を目指す11月のアメリカ大統領選において接戦が予想されている中、国内での雇用創出は取り引きの成立を前進させる材料になる可能性がある。
今回の件に詳しい関係者によると、オラクルは事業買収ではなく新たに再編されたTikTokへの投資を行うことになりそうだという。
さらにほかの関係者の話では、TikTokの中国親会社である北京字節跳動科技(バイトダンス)に出資している、ジェネラル・アトランティックとセコイア・キャピタルも新会社の株式を持つことになる。
各条件が最終決定していないために、関係者はいずれも匿名を条件に語ったそうだ。しかし条件は48時間以内にまとめられるとみられている。
TikTokの提携を進めるには
TikTokをめぐる動向は、緊張が続いている米中関係の中心に位置する問題の一つであり、最終的にどのような形になっても両国の商品が必要だとされている。
TikTokはオラクルの提案を財務省に提出したことを確認。さらに広報担当によると、提案は「安全保障をめぐる政権の懸念を解消する」内容だという。
ムニューシン氏は、大統領に基づく取引成立期限は9月20日だと強調した。
財務省の報道官は、オラクルとの取引にトランプ氏が言及していた政権への支払いが含まれるかどうかについてのコメントは控えている。
オラクルは14日の発表文において、週末にバイトダンスが財務省に提出した提案の中に「信頼できる技術パートナー」として含まれていることを確認した。
TikTokと提携したオラクルについて
オラクルは政権発足前からトランプ氏との関係を育んできたといわれている。
オラクルの共同創業者であるラリー・エリソン会長は、トランプ氏支持を公言しているシリコンバレーの数少ない大物の一人だとされている。
サフラ・カッツ最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏の再選キャンペーンに貢献するとともに、オバマ前政権からの政権移行チームに参加し、トランプ氏とホワイトハウスで夕食を共にしたこともある。
TikTokとオラクルが協議をしている条件は、未だなお流動的であると説明。
新たに設立するアメリカ事業の株式をオラクルが取得。TikTokのアメリカ技術パートナーとなるほか、TikTokのデータをオラクルのクラウドサーバーに保管するという構想が話し合われている。
仮にオラクルがTikTokのデータをアメリカ国内で保管することになっても、バイトダンスは少なくともTikTokのアルゴリズムに対するコントロールを一部を引き続き持つことになるという。
その場合には、中国政府によって情報操作されるという当初のリスクは残る。
アナリストらは別の可能性も示唆している。
オラクルがTikTokのアメリカ事業向けに新たなアルゴリズムを構築。アメリカを拠点とするオラクルもしくはTikTokのエンジニアがコントロールすることも考えられることを指摘した。
この場合にはオラクルがアルゴリズムを「所有」することとなり、中国政府の手は届かなくなる。
TikTokの提携や売却については当初報道されていたMicrosoft社ではなく、オラクルがその提携をすることで合意した。
今後の決定や方針は、各企業だけでなく二国間の関係にも影響を及ぼすとされており、引き続き動向に注目が集まっている。
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