星野リゾート「倒産確率」を公表

Business

新型コロナウイルスの感染拡大により、航空会社やホテルなど観光業界は大きな打撃を受けている。

その中でも顧客に安心して滞在してもらえるよう、ソーシャルディスタンスを保持できる対策を打ち出したり、ワーケーションプランを発表したりとホテル業界の中でも一歩進んだ取り組みを行っている星野リゾートでは、社長の星野佳路氏が「倒産確率」を社員に向け発表しているという。

倒産確率とは

星野佳路氏が社内専用に執筆をつづけるブログで公表しているという「倒産確率」。この数字は星野氏自らが予約状況や財政状況から、いくつかの変数を元にはじき出した数字だ。

もともとこのブログは新型コロナウイルスの感染拡大以前から掲載しており、外出自粛要請や緊急事態宣言の発表など、新型コロナウイルスの影響がより深刻になった4月以降は、情報発信の頻度を増やしたという。

その中でも最もアクセスを集めているのが倒産確率の記事へのアクセスで、5月中旬に始めて倒産確率を掲載した際には、社員から「久しぶりに星野リゾートらしい刺激的な内容だった」という反応が返ってきていた。

 

星野氏は、取り組み次第では倒産確率が下げられるとしながら、それでも数字を公表した理由に、「会社の施策に共感を持ってもらい、社員自身が自分が何をすべきかしっかり考え、動いてほしいからだ」と話した。

具体的な数字については明かさなかったものの、6月に挙がった倒産確率は、予約が増加し始めた7、8月に下がったという。

 

さらに今回の倒産確率の発表について、「コロナ危機を克服できれば、特に若い社員にとって大きな自信、貴重な経験になるはずです。だからこそ、倒産確率も含めて会社の動きをきちんと知ってもらう必要がある。ゲーム感覚を取り入れ、危機を楽しんで乗り越えてほしいという思いもあります。」と語った。

実家の旅館を継いだ星野佳路氏

星野氏は1914年に創業した長野県軽井沢町の「星野温泉旅館」を経営する両親のもとに生まれ、自身も宿泊施設の経営について学ぶためアメリカの大学院へ通った。

その後バブル崩壊後の1991年に実家の旅館を継いだ。

星野氏はこれまでに破産した旅館を多く再生してきており、旅館稼働率の全国平均が37%のところ、「界 鬼怒川」は脅威の73%を記録している。

ほかにも北海道のスキーリゾートである「星野リゾート トマム」や、「星野リゾート 青森屋」などを再生してきた。「青森屋」に関しては2004年に経営破綻したものの、5年で黒字化を達成。

 

2008年のリーマン・ショックや、2011年の東日本大震災の際にもあらゆる手段で危機を乗り越えてきた星野リゾート。

しかし今回のように旅行需要が全国的に、ひいては全世界的に同時に減少するのは初めての経験だった。

そんな中、星野氏は「ワクチンが開発されれば現在の旅行需要の減少も解決するわけで、出口が見えている危機も珍しい。現在の状況は1、2年、長くても3年だと見込んでいます。」と語った。

バブル崩壊やリーマン・ショック後の景気低迷はいつまで続くか分からなかったうえに、未だに震災による原発事故の風評被害にも悩まされているという。

コロナ禍における星野リゾートの対策

宿泊業界が落ち込む中、星野リゾートではあらゆる対策、施策に取り組んでいる。

3密回避の旅

星野リゾートでは「3密回避の旅」と称し、チェックイン時の対応や客室での対応、食事時の対応、スタッフの対応などあらゆる場面ごとに3密を回避する対策を徹底している。

星野リゾートの所有する宿泊施設の多くは、一度に多くの宿泊客が滞在する大型ホテルとは違い、自然の中にある施設でのんびりと過ごすことを目的とする人が多く滞在しており、その特徴を前面に出し、できる限りほかの宿泊客との接触を減らすような取り組みを行っている。

ワーケーションプラン

住んでいる場所を離れ、観光地やリゾート地に滞在し、仕事とレジャーを楽しむワーケーションが話題を呼んでいるが、星野リゾートでもワーケーションプランを発表している。

 

「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」では、「リモートワークステイプラン」と称し朝食付きで1泊、3泊、5泊、7泊、10泊の5つのプランを用意している。

料金は大人1名12,300円からで、2名で3泊すると73,800円と、通常料金より15%から40%割引になるという。

「星野リゾート OMO7旭川」では「憧れのリモート書斎プラン」を用意。料金は1名1泊3,000円からで15泊から30泊限定の長期滞在者向けのプランとなっている。

 

観光業界は依然として苦境に立たされており、観光地や宿泊施設は新しい生活様式に則した「生き残り戦略」への取り組みが余儀なくされている。

星野リゾートのように、経営陣だけでなく社員一人ひとりが「今何をすべきか」を考えることで、生き残りへの打開策が見つかるかもしれない。

Translate »
タイトルとURLをコピーしました