焼肉店復活のキーワードは「テイクアウト」BBQ需要も相まって好調

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新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出自粛要請や緊急事態宣言の発表を受け厳しい状況が続いている外食産業。5月の緊急事態宣言の解除後、徐々に客足が戻ってきているとはいえ、ファーストフード業界以外は依然として苦境に立たされている。

中でも居酒屋の状況は深刻で、日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査において、調査サンプル(既存店)の居酒屋のうち約1割が閉店したことがわかっている。

一方で健闘しているのが焼肉店だ。焼肉は外食産業における人気業界であるだけでなく、無煙ロースターによる換気の優位性が背中を押している。

コロナ禍で健闘する焼肉店

焼肉店が検討している理由は、換気の優位性だけではない。テイクアウトも一つの要因だ。

外出の自粛が呼びかけられるようになり店内飲食が難しくなったことで、多くの飲食店でデリバリーやテイクアウトといった新たな業態でのサービス提要を開始している。

焼肉店も同様に、テイクアウトを開始する飲食店が続々と登場しており、夏季の自宅でのBBQのニーズにマッチしたことも相まって、テイクアウト事業に手ごたえを感じている店舗は多い。

焼肉市場は2万店、1兆円規模だと目されているが、そんな大規模市場で当たらなニーズを掘り起こしたといっても過言ではない。

テイクアウトで成功した「焼肉レストランひがしやま」

仙台に4店舗を構える焼肉店の「焼肉レストランひがしやま」はテイクアウトを導入したことで成功を収めた焼肉店の一つだ。

「焼肉レストランひがしやま」では4月中旬に宅配焼肉「ニククル」をスタート。以前から専門店向けの調理下請け事業をセントラルキッチンで行っていたが、セントラルキッチンを活用しサイドビジネスとして開始した。

開業にあたり準備したのは、宅配用の三輪バイク6台と軽自動車2台。さらに新聞の折り込みでメニューブックを配布したほか、家庭用ロースター(カセットコンロ)の貸し出しも用意したという。

 

「焼肉レストランひがしやま」が実施した試みはコロナ禍の巣ごもり需要に的中した。

5月は客単価6,500円で月商1,000万円を突破し、その後イートイン客が回復した6月から7月は半減したものの、リピート客の需要やBBQ需要の高まりを受け8月は600万円と盛り返している。

 

中山栄一社長は、「焼肉のセントラルキッチンを有効活用するサイド事業として有望。採算ラインは月商300万円。焼き方の派遣をセットにしたケータリングの要望もあり、大きな可能性がある」と、今後への期待を語った。

北海道の焼肉店「金剛園」の事例

北海道苫小牧市を拠点とし9店舗を展開する「金剛園」は、4月の売上が前年同月と比較して40%減少と苦境に立たされていた。

打開策としてタレを絡めた精肉と焼肉弁当のテイクアウト販売を始めたところ、これがヒット。コロナ禍にありながら5月には前年同月と比較して7%増、6月には10%増と好調だった。テイクアウトの比率は5割に達したという。

イートイン客が回復傾向をみせた7月から8月にかけても、テイクアウトの比率は1割をキープしており、涼月ともに前年と比較して5%増を達成。コロナ禍を乗り切るための策が新機軸に昇華した。

 

須藤精作社長は、「受け渡し時、客との会話で当店のタレが想像以上に評価されていることを実感。地域に根差したストアブランドの強みも再認識した。テイクアウト販売の客単価は3000円を超え、人時生産性も高い。一過性ではなく一定の需要があり、既存店売上げの底上げに有効」と語った。

大分県の焼肉店「韓国苑」

大分県内に10店舗を展開する「韓国苑」はイートイン客が大きく減少し始めた4月下旬に、イートインメニュー全品のテイクアウト販売を実施。

約4m四方の大きな看板に開かれた店名ロゴを「車に乗ったままお受け取り」というキャッチコピーに変えるという大胆な策に乗り出した。

この機動力がコロナ禍の需要に刺さり、看板を変えた翌日から予約注文が殺到したという。

 

テイクアウト販売の人気が功を奏し、例年ゴールデンウィークと盆期間は毎年一番を争う繁忙期であるが、コロナ禍において両期間とも前年並みの売り上げを達成。

ゴールデンウイークに関しては全社員が朝6時から仕込みに追われるという繁盛ぶりで、売上の7〜8割減を覚悟した4月の厳しい状況を打破した。

 

橋本健司専務は「ローカルは同調圧力が強いので休業も考えたが、ホームセンターでバーベキュー関連が売れているのを知り、駄目もとでテイクアウト販売に挑戦した。GWにドカーンと来た感じ。前日注文9割から客の強い目的意識を実感。客単価6500円は焼肉の強さ証明。精肉は肉屋に負けると思っていたが、焼肉タレの付加価値は予想以上に強い」と話した。

 

焼肉店に訪れる人の多くが、直火焼き以外にも各店舗独自の「もみダレ」にも期待している。精肉店で購入した肉と比べ付加価値が明確であり、焼き肉店の人気はもみダレが握っているといっても過言ではない。

さらに焼肉市場は、ほかの市場と比較して客単価が高く、成功事例を見るに焼肉店の精肉販売は今後も十分に通用するといえる。

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