7月から政府が開始した「Go To キャンペーン」が10月1日より新たな動きを見せている。
キャンペーンの中でも最初に開始された「Go To トラベルキャンペーン」では、これまで対象外となっていた東京都発着の旅行が10月1日より対象となり、さらに同日からキャンペーンの一部である「Go To イートキャンペーン」がスタートした。
新たにキャンペーンが拡大することで、新型コロナウイルスの感染拡大により苦境を強いられている観光業界や飲食店はその恩恵を受けることができるのだろうか。
「Go To イートキャンペーン」がスタート
「Go To オートキャンペーン」は、新型コロナウイルスにより大きく低下した外食産業に対する需要を引き上げる目的で実施された。
4月~5月にかけて外出自粛要請や緊急事態宣言が出されていたころと比較すると、徐々に飲食店への客足は戻りつつある。しかしながらソーシャルディスタンスを保持しなければならず以前よりも収容人数がすくなっていることや、需要が新型コロナウイルス感染拡大前ほどにまで回復していないことから、状況は依然として厳しい。
「Go To イートキャンペーン」とは
「Go To イートキャンペーン」を通して利用者が受けられる特典は、主に2つ。
1つ目は発行した地域の飲食店で利用できる「プレミアム付き食事券」を購入。購入金額の25%を上乗せした額面の食事券が入手できる。
プレミアム付き食事券は、店内飲食の他テイクアウトやデリバリーも対象となる予定だが、ピザの宅配や持ち帰り専門のすし屋といった、持ち帰り宅配飲食サービスを展開している事業者は対象外になるという。
もう1つの特典がポイント還元だ。ぐるなぴや食べログといった飲食予約サイトを経由し飲食店を予約、利用した顧客を対象に、1人当たり最大で1,000円分のポイントが還元される。このポイントは飲食後に付与されるため、次回以降の利用を想定している。
ポイント付与の上限は10人(10,000円分)で、ポイント還元に関してはテイクアウトやデリバリーでの利用は対象外である。
【参考記事】

飲食店への影響は
キャンペーン初日となった10月1日、東京都銀座にある飲食店では1日にキャンペーンを利用した予約が1件あったという。また翌日以降にも複数予約が入っていた。
店舗を運営する会社の幹部は「客足が大きく回復することは難しいが、キャンペーンを通して政府が『外食してください』と言ってくれているのはありがたい。外食に対する世間の印象が変わっていけば」と話した。
外食業界が苦境を強いられているのは、数字からも見て取れる。帝国データバンクが10月1日に発表した倒産件数571件を業種別にみると、飲食店は83件と最も多い。
野村証券の高島雄貴エコノミストも、「『待ちに出ていいか分からない』という個人消費のボトルネックが、キャンペーンの実施を通して解消されることに意味がある」と今回のキャンペーンについて言及した。
「Go To トラベルキャンペーン」で東京都が対象に
もうひとつ、10月1日から新たに始まったのが東京都発着の旅行を対象とした「Go To トラベルキャンペーン」である。
もともと7月下旬に全国でスタートした「Go To トラベルキャンペーン」であったが、開始当時東京都における新規感染者が急増していたことから、東京都発着の旅行に対する適用が見送られていた。
実際に東京都発着の旅行が対象となったことで、今年の夏は昨年の3割程度の予約でとどまっていたものの、キャンペーン対象となる旅行の予約が開始してから申し込みが急増。5割ほどまでに回復したという。
またキャンペーンの開始とともに都民を対象にあらゆる特典を付ける宿泊施設も多い。
「ホテルニューオータニ大阪」では、1日以降に宿泊する東京からの宿泊者を対象に、レストランでの食事や、ホテルのフィットネス設備を1万円分サービスするプランを開始。
観光地に赴くことに不安が残る中で、ホテルでの滞在を楽しんでもらうことが目的だ。このプランにはすでに400件を超える申し込みがあったという。
ホテルでは、新型コロナウイルス感染拡大前はインバウンドや東京からの観光客が大半だったことから、これを機に利用客の伸びを期待している。
沖縄県石垣島にあるホテル「THIRD石垣島」では、東京都からの宿泊客を対象に宿泊料が安くなるプランを発売。「Go To トラベルキャンペーン」と併用すると最大で50%も割引されるという。
「THIRD石垣島」は本来2020年4月に開業する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開業を7月に延期した。オープン後も観光客が伸び悩んだことから、石垣島の観光客の3割を占めているという東京都からの観光客の増加に期待が高まる。
実際に10月1日には、東京から5組の観光客が訪れた。
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