脱ハンコが進み電子署名が急増中

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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「脱ハンコ」が叫ばれる中、電子署名への切り替えが急増している。

電子署名のシェアの8割を握っている最大手、弁護士ドットコムのサービスを導入している企業数は1年で2倍にまで伸びているという。日本通運とGMO系でも顧客の拡大に向け連携を進めており、日本全体で数十万社が導入済みだ。

市場は2023年度までに2017年度と比較して、約10倍の198億円にまで伸びることが予測されており、今後さらに普及が進むとみられている。

電子署名とは

電子署名とは、「電子文章が正式なものであり、かつ改ざんされていないことを証明するもの」である。

これまでの紙の書類であれば、印鑑や署名を使って、書類が正式なものであり改ざんされていないことを証明していた。

しかしインターネットの普及により契約書や請求書をPDFなどの電子文書でやり取りする機会が増加するにしたがい、電子文書はデータの書き換えが比較的容易であるため、従来の印鑑やサインでが正確なものであるという証明が難しくなった。

そういった場合に印鑑やサインのように正式な文書であることを証明する手段として用いられたのが電子署名である。

 

電子署名では、契約書を本人が作成したことを証明する「本人証明」、契約書が改ざんされていないことを証明する「非改ざん証明」の2つの役割を担っている。

電子署名の国内トップシェアは弁護士ドットコム

前述のようにこれまで日本では契約書への押印が一般的だったものの、コロナ禍において出社が難しくなったり、所定の場所へ赴くことが難しくなったことで電子署名の需要が急増した。

 

調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)によると、国内の電子契約サービスは2017年度の20億円から、2023年度には10倍近い198億円になるとみられている。

現在電子署名の国内トップシェアの弁護士ドットコムだけでも電子署名の導入社数が10万社を超えている。日本の法人数は300万前後とみられており、大きく拡大したことがわかる。

弁護士ドットコムで提供しているサービス「クラウドサイン」は4月だけで、前年同月と比較して3倍にも及ぶ6,500社が導入。導入者数は1年で約2倍に増加しているという。

 

同社では12日に、行政のデジタル化を後押しする新組織である「デジタル・ガバメント支援室」を立ち上げたことを発表。

電子署名を一般企業だけではなく、公官庁や地方自治体にも売り込むほか、導入に必要な体制づくりも支援するという。

同社は電子署名事業だけで「4~5年後には売上高で100億円規模を目指している」という。

 

弁護士ドットコム以外にも、日通系で「ワンサイン」を運営しているワンビシアーカイブズと、「アグリー」を運営するGMOグローバルサイン・ホールディングスでは、2020年度を目処に、両社の顧客が互いのサービスを利用できる仕組みを整えている。

電子署名の2つの方式

競合同士が協力体制を整える理由は、電子署名に2つの方式があることが挙げられる。

 

弁護士ドットコムが提供している方式は「立会人型」と呼ばれている。

利用者が契約する際に、オンライン上に契約書を送り、契約相手が内容を確認したうえで合意を得る。その後契約に立ち会ったサービス提供者が電子署名を行うことで契約が成立するという仕組みだ。

立会人型は、その簡便性から海外では主流の方法でもあり、世界大手であるアメリカのアドビも同様のサービスを提供しており、国内でも電子署名市場の過半を占めている。

 

一方でGMOなどが提供しているサービスは「当事者型」と呼ばれている。

この方法ではます契約の当事者が、サービス提供者に対し本人であることを証明する書類を提出する。サービスの提供者は本人確認後に証明書を発行、オンライン上の契約書にそれを紐づける。

当事者型の場合は、企業の紹介や本人の在籍確認など時間がかかるため、申請から発効までに1~2日必要だ。安全性は高いものの、立会人型では最短で数分程度で済むことを考えると、時間がかかるといわざるを得ない。

 

さらに契約の当事者は同じサービス提供者が発行した証明書がなければ契約を結べないというデメリットがあり、別のサービス提供者のサイトを利用する際には新しく証明書を取得する必要があった。

GMOなどはこうした煩雑さに目を付け、その解消を狙っている。片方のサービス提要者の証明書があれば契約が結べるようになる。

こういった背景からGMOなどは当事者型のサービスを提供する国内企業に対して連携を呼び掛けており、一部からは前向きな反応をもらっている。

将来的には証明書のデータをマイナンバーカード内に埋め込むことについても検討されており、実現すればさらに利便性が高まるとみられている・

 

ハンコの文化がない海外では、電子署名の導入が続々と進んでいる。

アメリカの調査会社であるマーケッツアンドマーケッツによると、電子署名の世界市場は2023年までに55億ドル(約5,900億円)になるという。

日本では内閣府が9月24日付で全府省に対してハンコの原則廃止を文章で要請するなど、さらに拡大が見込まれている。顧客獲得に向けて、各社の競争はこれから激しくなりそうだ。

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