オンライン講義が対面式授業より人気という調査報告

Business

東洋大学の教授が10月14日に一つの調査報告を発表した。それが「オンライン講義は対面式の講義より学生の人気が高い」というものだ。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、全国の大学でオンライン授業が実施されているが、学生からは「周囲の私語が気にならない」、「じぶんのペースで学習できる」と意見が出ているという。

東洋大学が発表した調査結果

今回発表された調査では、東洋大学を含む15の大学で実施された。対象は文系の一般教養科目(講義形式)を受講している1,426人で、7月に実施。

質問項目には、過去に受けた対面式の講義と、今年の春に受けたインライン講義を比較した印象など含まれていた。

なお今回の調査では、対面授業を受けたことがない1年生は調査対象外となっている。

 

調査では「同じ内容の講義を受ける場合、オンライン講義がいいか、対面式がいいか」という質問に対して、40%の学生がオンライン講義を希望し、対面講義を希望した33%の学生を上回った。

学生がオンライン講義に対して感じているメリットについての質問に対しては、82%が「通学時間がかからない」、68%が「自宅で学習できる」、61%が「教室の移動がない」と答え、移動時間がかからないことにメリットを感じている人が多いことが分かった。

さらに66%は「自分のペースで学習できる」と答え、動画や資料を配信して自由な時間に受講できることが、「オンデマンド型」の授業のメリットであることも分かる。

 

メリットがある一方でデメリットについても浮き彫りになった。

39%が「通信や機材のトラブルで音声や動画が途切れる」、36%が「教員ごとに使うWeb会議アプリが異なる」、57%が「教員とのコミュニケーションが減った」と答えるなど、デメリットについて答える学生も少なくなかった。

オンライン講義の評価から明らかとなった対面式の問題点

今期調査を実施した松原教授は、オンライン授業のメリットについて調べる中で、対面式の講義の問題点も浮き彫りになったと指摘している。

実際に調査において「対面式と比べ、オンラインの方が学習効果が上がったと思う講義はどれくらいあったか」という質問に対して、38%の学生が「多くある」「やや多くある」と答えている。

学年別で比較すると前述のように答えた学生の割合は、2年生で33%、3年生で40%、4年生で52%と、学年があがるごとに、オンライン学習の効果について感じていることが分かる。

 

この結果について松原教授は、在学期間が長くなればなるほど対面式の講義の受講数が必然的に上がることに触れ、「従来から対面式の講義の評価が、年数を経るごとに徐々に下がっているのではないか」と推測している。

調査において学生が挙げたオンライン講義のメリットの中にあった「私語がない」「教室での講義より集中できる」という意見に対しても、松原教授は「これらは対面式授業の課題である」と言及した。

教員が感じる苦労と学生が感じる学習効果に相関はない

この調査では、学生へのアンケート調査とは別に、教員20人にも調査を行っている。調査では教員がオンライン講義に向け、従来より多くの時間をかけて取り組んだことが明らかとなった。

講義の準備時間が減少したと答えた教員は全体の0人で、20人全員が「増えた」「どちらでもない」と答えているという。

 

一方で調査においては、教員が講義の準備にかけた時間と学生が思う学習効果には明確な相関がないことが明らかとなった。

準備時間が「とても増えた」と答えた教員の講義に参加した学生のうち、学習効果が上がったと答えた学生の割合は41%、「やや増えた」と答えた教員の講義では36%、「どちらでもない」と答えた教員の講義では56%であった。

 

松原教授はこの結果に対して、「先生の苦労は教育の中身というよりデバイスや通信環境、講義動画の準備が主になっていたのでは」と分析している。

講義をオンライン化するにあたり、教材のデジタル化などの負担が増加。教員としては苦労したものの、教育の内容にまでは手が付けられなかったと推測した。

一方で教材をデジタル化してしまえば、今後教員の負担感が元に戻る可能性についても示唆している。

 

講義内容については、学生から「対面式以上に授業をコントロールできない教員がいる」「講義資料を配るだけの教員がいる」など厳しい意見も挙がっている。

講義の不満から「授業料は減額すべき」「教員も不慣れだったため授業料を無駄にしたと感じた」という声もあった。

 

大学のオンライン講義の流れは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環として全国に広まった面があり、ある程度感染が収束した場合には、従来通り対面式の授業に戻すべきだという意見もある。

一方で調査に参加した教員からは、「アクティブラーニングなどの一部の講義形式によってはオンラインの方が適している」と、オンライン講義のメリットについても指摘された。

松原教授は今回の調査について、オンライン講義の方が対面式の講義よりも人気が高いことを受け、「結果を見ると単純に対面に戻すだけでなく、幅広く考えるべき」と柔軟な対応を求めており、「速やかに対面式に戻すべきか、オンラインを続けるべきかは議論しないといけない」とこれからの講義について呼び掛けた。

コメント

Translate »
タイトルとURLをコピーしました