JTBが店舗2割削減の方針

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旅行会社大手のJTBが国内店舗数を5年間で2割減らす方針を明らかにした。

新型コロナウイルスの感染拡大で旅行取扱高が低迷する中、政府が旅行代金を補助する「Go To トラベルキャンペーン」事業の開始により、OTA(オンライントラベルエージェント)での予約が増加。結果としてコロナ以前から増加傾向にあるオンライン予約がさらに増加している。

長年国内旅行業界をけん引してきたJTBの旧来型店舗モデルは、インターネットの発達や新型コロナウイルスにより転換期を迎えているといえる。

来店での旅行相談には事前予約が必要

10月1日から東京都発着の旅行が「Go To トラベルキャンペーン」の対象となり、その予約を開始した9月18日には、東京都内のビジネス街のJTBでは予約なしで旅行相談に来店した顧客の対応を断る様子が目立った。

同日、JTBは全国でも約460店舗で東京を追加した旅行メニューの案内を開始。

ソーシャルディスタンスの保持など感染症対策の観点から、店舗では客席を一つ空けるなどの対応を取っており、対応できる人数が限られるため、来店にはネットでの事前予約が必須だという。

一方で窓口での相談予約を取ろうにも、1週間先まで事前予約ができない状況があり、旅行に行きたい顧客に旅行を案内できないという現状が浮き彫りになっている。

旅行会社の明暗を分けた「Go To トラベルキャンペーン」

東京発着の旅行が「Go To トラベルキャンペーン」の対象となったことで、急増した旅行需要を多く取り込んだのは、楽天が運営している「楽天トラベル」だという。

使い勝手がいいことや、若者に人気のOTAであることが背景にある。

しかし「楽天トラベル」などOTAは、10月9日以降、キャンペーンの利用回数の制限や、宿泊料の減額幅を縮小するなどの処置に踏み切っていることが多く、キャンペーンの割引の原資になる給付金は、新型コロナウイルス感染拡大前の旅行会社や宿泊施設の取扱額などを基準に割り振られている。

OTAが前述のような措置に踏み切ったのも、予想以上にキャンペーンの利用が増加し、給付金が底をつきそうになったためだとみられている。

 

一方で来店での接客を中心としているJTBなどの大手旅行会社では、このような対応を撮っていない。また感染リスクを避けるため、大手旅行会社の強みとなっている団体旅行の回復は依然として鈍い。

緊急事態宣言中の5月には、前年と比較して96%にまで減少した旅行取扱額は、8月も依然82%の減少にとどまっている。

海外ツアーにおいては11月末までの中止が決まっており、国内旅行を中心に戻り始めている個人旅行も感染症対策という「ハンデ」のある実店舗の接客では、以前のようには伸ばせないのが現状だ。

 

このような現状は、JTBに限らず店頭で接客をしている大手旅行会社に共通しているという。

インターネットの普及により、時間や場所にとらわれず宿泊施設を予約できるようになったことにくわえ、スマホで簡単に探せる民泊検索サービスなど新しい選択肢は増加している。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大により、グループ旅行ではなく一人旅の需要も増加し始めている。

 

日本交通公社が実施した調査では、2018年時点で国内旅行の予約によく使う方法として、「ネット専門の旅行予約サイト」が全体の46.4%を占めトップとなった。「旅行会社のウェブサイト」は29.6%、「旅行会社の店舗」は27.8%と大きく差がつく結果となった。

 

また日本観光振興協会などによると、2019年の観光関連サイトの年間閲覧数では、トップに「じゃらんnet」、次いで「楽天トラベル」という結果になった。

JTBは10位にとどまり、閲覧数ではトップの「じゃらんnet」に2倍以上の差をつけられている。

予約の手軽さや旅行の自由度だけでなく、大手予約サイトは通販サイトと共通で利用できるポイントが活用できるなど、利用者の「お得」なイメージを勝ち取っているといえる。

オンライン化の流れは世界共通か

日本のみならず、世界の観光市場においてもオンライン化の流れが見られる。特にインバウントによる個人旅行予約に関しては、オンラインに対応していなければ取り込みが難しいことから、宿泊施設でも独自の予約サイトの強化に動いている。

インバウンドでも人気が高い星野リゾートの星野佳路代表は、「食事の予約など自社のオンラインでしかできない要素を確立することが必要」と強調。

 

JTBでも航空券やホテルを自由に組み合わせられる「ダイナミックパッケージ」の販売や、海外の大手インターネット会社と連携して予約サイトを改修するなどしている。

 

競合のHISはすでに国内にある260店舗のうち、約3分の1を来年の夏までに減らす方針を決めている。

JTBは4月末に金融機関から融資枠を含め1,400億円を確保しているものの、構造改革が遅れ、戻りつつある旅行需要を取り込めなければ、資金の流出が進む。

旅行会社は、個人シフト、デジタル化に対応した店舗づくりが求められている。

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