インターネット決済サービスの老舗企業である「PayPal」が、現地時間10月21日にユーザーがPayPalアカウントから直接暗号通貨の購入、保持、販売ができる新サービスを発表した。
暗号通貨を資金として利用できるサービスの提供により、その有用性を大幅に高める計画だという。
PayPalとは
PayPalはアメリカの「PayPal Holdings Inc.」が運営している支払いシステムで、通販サイトなどでの支払いに利用できるサービスである。なお日本では、金融庁に「資金移動業者」、「前払式支払手段第三者型発行者」として登録されている。
基本的にはPayPalにクレジットカードや銀行口座を登録して、通販サイトでの支払い時に支払い画面からPayPalにログインして支払いを完了させる。
クレジットカードの情報を通販サイトで登録せずに買い物ができるため安全性が高く、一度クレジットカードを登録しておけばカード情報が保存されるため支払いまでのプロセスが簡単であることも特徴だ。
またPayPalには「買い手保護制度」という、購入した商品に問題があった場合にそれを保証する制度もあり、多くの通販サイトで導入されている。
現在では190の国と地域で利用できるほか、世界で2億以上のアカウントが作成されている。
PayPalで暗号通貨の利用がスタート
PayPalの発表によると、アメリカのPayPalアカウントでは数週間以内に暗号通貨の利用が可能になるという。最初は「Bitcoin」、「Ethereum」、「Bitcoin Cash」、「Litecoin」の4つの銘柄が取り扱われる。
暗号通貨の利用が可能になることにより、2,600万を超えるPayPal加盟店での支払いに暗号通貨が利用できるようになるものの、実際に加盟店へ支払われる際には暗号通貨のままではなく、PayPalのレートで換金され法定通貨で支払われるため、加盟店による換金作業は不要だという。
さらに2020年12月31日までは、暗号通貨を売買する際にかかる手数料も不要となる。しかしながら2021年以降手数料がどうなるのかについては現段階では発表されていない。
さらにPayPalでは、今回発表したサービスの一環として、暗号通貨エコシステムや暗号通貨への投資に関するリスク、ブロックチェーン技術を理解するのに役立つ教育コンテンツを提供することも発表。
なおアメリカ以外におけるサービス展開に関しては、2021年前半にPayPal傘下であるモバイル決済サービス「Venmo」に機能を拡張することで、他国でのサービスの提供開始を予定していると話している。
SNSでの声
今回のPayPalの発表について、SNSではサービス開始を歓迎する声があがった。
Squareに続きMVPの一角であるPaypalもビットコイン取り扱い開始。残りのVやMそして上位の銀行も来るね。ちなみにPaypalは預金額で世界20位の銀行でもある。ETFより先に既存の金融機関が扱い始めた事で、ビットコインもギークのオモチャから脱皮し、巨大な金融ネットワークと接続された。Big news! https://t.co/636q6qbvnf
— 妄想175@過剰流動性相場は自己責任 (@bitmania999) October 22, 2020
Paypal。
独自のWallet内でビットコインの購入+保有が可能に。
これはFiat On-rampとしては最強クラスではないでしょうか。
米英企業は既に買い集めを表明している。
次は大手銀行かな。
日本も乗り遅れるな。
頑張れ! https://t.co/l06CsETKEQ— cryptophile (@cryptophile_btc) October 21, 2020
またビットコインが130万を超える値を付けたことも話題となっているが、PayPalの発表が影響しているのではないかという見方もある。
#ビットコイン が13Kドルでピークを迎えたのは以下の通りです。@PayPalの仮想通貨参入
市場では、異なる取引所で資産の価格が異なることをご存知でしょうか。価格の違いにより、トレーダーはプラットフォームをまたいで取引することで利益を得ることができます。
詳細:https://t.co/aRIYxdC5MJ https://t.co/oNUDQ2Rm8N
— AAX日本コミュニティ (@aaxjp1) October 23, 2020
一方で暗号通貨での支払いが可能になったとしても、最終的には法定通貨での支払いとなるため、価格変動が大きい暗号通貨での支払いはリスクが高い印象があるという声も上がっている。
しかしながら投機目的ではなく、実際の利用シーンの増加により暗号通貨の認知拡大のほか、換金せずに暗号通貨だけでの取引拡大につながっていく可能性は大いに期待できる。
コメント