航空会社の生き残り戦略「外部出向」の取り組み

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け苦境に立たされている航空業界。

ANAホールディングスは、27日に2021年3月までの1年間で過去最大となる5,100億円もの赤字が見込まれることを発表している。

航空会社各社が、減便や運休などといった手段で生き残り戦略を実施している中、ANAやJALでは新しい施策の一つとして社員の出向を発表した。

ANAが社員の出向を発表

27日ANAホールディングスは事業構造改革を示し、その中にグループ外の企業への出向が含まれていた。新型コロナウイルスの収束後の需要回復を見据え、雇用を最大限維持する目的がある。

現在ANAでは仕事がない状態で給与を支払っているものの、対象となる社員が出向すると、出向先での労働対価がANAホールディングス側に支払われるため、雇用維持に向けた負担軽減が期待されている。

 

ANAホールディングスの社員の出向先として現在明らかになっているのは下記の企業である。

  • スーパー成城石井:空港で働く地上職の社員10名を店舗スタッフとして受け入れることが決定。
  • 家電量販店大手ノジマ:約100人がコールセンター業務を行う見込み。
  • パソナ:4名程度
  • KDDI:28名程度
  • 鳥取県内の企業(社名・募集人数などは非公表)

現在少なくとも5社で最大約40人の出向者を募集しているという。

ノジマの広報によると、「航空業界は接客レベルが高いため、こちらから声をかけた」と明かしている。

副業範囲の拡大も認める動き

ANAホールディングスは、社員の出向のほかにも副業の範囲の拡大も検討してるという。こちらも出向同様、新型コロナウイルス収束後航空需要が回復した際に人材を戻して対応できるようにするためだとみられている。

ほかにも同社では、人員の圧縮に加えて大型機を中心とした機材の売却、マイレージ会員の情報を顧客基盤として活用して旅行などあらゆる商品を発売する新規事業などを進め、航空需要の回復に備えているという。

JALでも社員の出向を発表

JALでは、29日にグループの約500人の社員を一時的にグループ外の企業に出向や派遣していることが判明した。

受け入れ先としてヤマトホールディングスグループなどの大手物流企業や自治体、教育機関など少なくとも10社以上の企業や団体が受け入れているという。また受け入れるにあたって、賃金の一部は受け入れ先が負担している。

人件費を抑えるほか、新型コロナウイルスの影響で活躍の場が減っていたりなくなっていたりする社員に対して、活躍の場を与える目的もあるという。

 

JALグループ外で働いているのは、客室乗務員や地上職員などの現場のある職員が中心である。期間は数日単位から2年間の長期にわたるものまでさまざまで、コールセンター業務や貨物の取り扱い、事務作業などを担っている。

出向や派遣している社員は、航空需要が元に戻ると、現場に復帰する予定だという。

 

このほかにもJALでは4月に航空需要が大きく落ち込んで以降、助成金関連業務や農家の収穫などを有償で請け負っており、医療や介護の分野に限って兼業も認めていた。

雇用を維持するために一時帰休や早期退職などの募集は行っておらず、企業への出向や派遣も雇用を維持する取り組みの一環である。

 

異業種への出向を行っているのは航空業界だけではない。新型コロナウイルスの感染拡大で同様に苦境に立たされている飲食業界でもこういった対策が始まっている。主な出向先はコロナ禍でも人手が不足している介護や農業といった業種が主だという。

航空業界や飲食業界などは、新型コロナウイルスの収束後に以前の需要まで戻ることが予測されており、今後もこういった形で雇用を維持する施策が広まっていくと考えられている。

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