ファミリーマートとTOUCH TO GO(TTG)は、無人化決済コンビニエンスストアの実用に向けて業務提携したことを発表した。TOUCH TO GOは無人決済店舗の開発を進めている会社で、第1号店は2021年の春を予定している。
TOUCH TO GOの決済システム
TTGが開発した無人決済システムでは、利用者が商品を手に取り、出口でタッチパネルの表示を確認し支払いするだけで買い物ができる。
そのプロセスの簡単さから、時間節約のニーズの高い朝の通勤時間帯や、隙間時間などでも、短時間で買い物を済ませられるだけでなく、人件費を削減できることによる店舗オペレーションコストの低減も期待できるという。
TTGのシステムは、高輪ゲートウェイ駅にすでに導入されており、設置されたカメラなどの情報から、入店した利用者と手に取った商品をリアルタイムに認識する。
出口付近にある決済エリアに立つと、決済用のディスプレイに購入する商品と金額が表示され、電子マネーなどでスピーディーに買い物ができるという。
無人決済を導入したミニストップ
無人店舗の導入は、近年小売店で導入され始めており、コンビニチェーンのミニストップでは11月から全国で1,000か所に無人店を展開している。
ミニストップの導入する無人店では、通常よりも小規模の店舗で、無人の決済システムを導入せずにセルフレジを導入することで無人店舗を実現。商品については、賞味期限の長い菓子類や飲料、カップ麺といった商品を陳列することで、商品の補充や廃棄などの手間の削減を図っている。
【参考記事】

無人店舗出店のメリット
無人店舗の出店にはいくつかのメリットがある。
一つが出店費用の削減だ。ミニストップのような小規模店舗であれば出店費用を大幅に削減できる。
実際にミニストップでは通常5,000万円から1億円かかるといわれている出店費用を、無人店舗であれば数十万円ほどに削減できている。
さらに完全無人店舗の場合はレジ対応の人員だけでなく、商品補填の人員も削減できるため、人件費削減にもつながるというメリットがある。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大による消費需要の変化にも対応している。
ここ数年小売店で次々に無人店舗を導入している背景には、人手不足や新型コロナウイルスの感染拡大による消費需要の変化があるとされている。
実際に9月のコンビニ大手7社の既存店における売り上げあ、前年の同月と比較して7か月連続で減少しており、在宅勤務の拡大や、外出自粛の影響を大きく受け、都心の店舗を中心に売り上げが落ち込んでいる。
さらに感染防止策の観点から人との接触を避ける傾向がある中で、無人店舗はそういった需要を満たしてくれるという側面もある。
またスーパーなどは巣ごもり消費の恩恵を受け需要が拡大している店舗があるものの、人手不足や感染防止策といった観点から費用の負担が増加しており、無人店舗であればスタッフが少ない分そういった費用の削減にもつながる。
今回のファミリーマートとTTGの業務提携により、両者では人員削減による店舗の運営コストやオペレーションの負担の軽減。非対面決済の推進、マイクロマーケットへの出店を可能にする店舗形態の創出など、多岐に渡り協力する。
さらなる利便性の向上だけでなく、新しい店舗運営の在り方を検討していくという、小売店にとって大きな一歩となったのではないだろうか。
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