電通社員2,800人が対象の個人事業主化を発表

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大手広告代理店の「電通」が2021年から、一部の社員を「業務委託契約」に切り替え個人事業主として雇う制度を始めることを日本経済新聞が報じ、ネット上で話題を呼んでいる。

新しい働き方だとポジティブな声もある中で、労働問題に取り組む弁護士からは、この働き方について懸念する声も上がっており、仕組みや電通の思惑について注目が集まっている。

電通が発表した「個人事業主化」

日経新聞電子版が11月11日に報じた内容では、今回発表された「個人事業主化」は、希望者が早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結ぶというもの。

契約期間は10年で、電通時代の給与を元にした固定報酬のほかに、実際の業務で発生した利益に応じたインセンティブが支払われるという仕組みだ。

対象となるのは40代以上の社員で、新会社と契約を結んだ個人事業主は、電通社内で複数部署の仕事を請け負うほか、他社とも業務委託契約を結ぶことができるという。なお競合他社との業務委託契約の締結は禁止されている。

労働問題に取り組む弁護士による懸念の声

電通は今回の発表について、「新しい働き方を求める社員の声に応じて制度導入を決めた」としており、人件費の削減といったリストラ策ではないとコメントしているものの、ネット上では「事実上のリストラではないか」と懸念する声も上がっている。

労働問題に取り組む市橋耕太弁護士は、次のように語っている。

「あくまでも報道ベースではあるものの、個人事業主化をせずとも、会社員という地位を残したまま副業や兼業を解禁すれば達成できる内容であるため、労働法の規制や社会保障といった会社が負担すべき負担を免れたいという『潜脱』の意図を感じた。

今回条件として提示されている『全職種の40代以上の社員』という基準もリストラ的な発想があるように思える。

さらに『競合他社との業務は禁止』という点においても懸念がある。これまでと同様の仕事をしていく中で、競合他社との仕事を禁じられると、必然的に電通の専属的な立場となり、結果として電通にすがるような状態にならざるを得ない。

最終的に個人事業主となった元社員は、優越的な立場にある電通から使い放題にされる恐れもある。」

電通はネット上での懸念に困惑

今回電通が発表したような「個人事業主化」は、以前から健康機器メーカーの大手「タニタ」も始めていたものの、市橋弁護士のような視点からの批判も相次いでいる。

 

電通によると今回発表された仕組みは、「ライフシフトプラットフォーム」といい、「人生100年時代」と見据えてチャレンジと安心を両立できるように設計されているという。

電通の広報によると「電通の社内には、年齢にとらわれない『エイジエレス』な働き方をしたいと考える人が少なくない。例えば現在持っている知識やスキルが時代遅れになる前に、地方に戻って町おこしをしたいと考えるような人だ。

今回新しい仕組みを構築するにあたって新会社を設立するのは、そんな人たちが個人事業主になって働くことで、社会に役立っていってほしいという発想である。」

構想は2年前から始まっていた

批判されているように事実上のリストラではないのかという問いに対し、電通広報は下記のように話している。

「プレスリリースにも書かれている通り、今回発表された仕組みは2年以上前から始まっている話です。

人生100年時代を見据えた時にどのように働いていくべきかについて、融資の社員たちが集まって、検討を進め、2年以上かけて会社を説得して、今回のプレスリリースにまでこぎつけました。

契約期間は10年と決まっているのは、個人事業主の事業は軌道に乗るまで新会社と業務委託契約を結んで、一定の業務をやりながらほかの事業をやったり学び直しをしたりしながら、軌道に乗っていくようにしてもらいたいという考えから設定された期間です。」

 

電通によると、

  1. 新卒採用で入社の場合:勤続年数20年以上の40歳以上60歳未満の社員
  2. 中途採用で入社の場合:40歳以上で勤続年数5年以上の社員

の計2,800人が対象で、現段階で230人から応募があったという。

これから始まる仕組みであるためうまくいかない可能性もゼロではなく、すぐに募集を広げることはしない。

 

電通をめぐっては、2016年12月に当時新入社員であった高橋まつりさんが過労自殺した事件などの労働問題が相次いでいることから、市橋弁護士はこういった悲惨な事件が再び起こることも懸念している。

「ここできちんと問題点を認識して、労働者を守る方向にもっていくべきではなかろうか」と問題について指摘した。

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