ファミリーマートが店舗の値引き販売を自由にすることを発表した。
現在は値引きには本部の申請が必要などといった店舗側の手続きが煩雑であったが、2021年度中に新しいレジのシステムを導入したり、制度を整えることで、簡単に値引きできるようにするという。
公正取引委員会がコンビニエンスストア各社に店舗への値引きの制限や24時間営業の強制などの現状を改善するようもとめており、その要求に応えた形となった。
公正取引委員会がコンビニ各社へ改善を要求
公正取引委員会は、9月にファミリーマートなどのコンビニエンスストア8社に対し、値引き販売の税源などが独占禁止法違反になる可能性があることを指摘。
取引状況の点検や改善について要求しており、各社では値引きの容認など対応策を11月30日までに順次公正取引委員会に報告している。
なおファミリーマートでは、フランチャイズチェーン加盟店が値引きをすること自体には制限をかけていないものの、値引き品は会計時に通常のレジ操作に加えて、別途店員が手書きの伝票を作る他、事前に本部に申請する必要があるなど、事実上の制限となっていた。
店舗側でも手続きに手間がかかるため、実際に値引きする店舗は少なかったという。
そこでファミリーマートでは、2022年2月期中に店舗向けの新しいレジのシステムの導入を目指している。
現在導入についての詳細を詰めているが、現段階では値引き商品をシステムに登録すると専用にバーコードが発行され、それをレジで読み取るだけで会計が済む仕組みなどを検討している。事前申請も不要になる予定だという。
値引きするのはおにぎりやサンドイッチ、弁当といった毎日商品が入れ替わる「日配」と呼ばれている食品だ。
また食品の中でも販売期限が数時間以内に迫ったものが対象で、値引き幅は原則として店舗側が自由に決められる。
値引きが時短営業にもつながる
セブン-イレブン・ジャパンなどほかのコンビニにおいても、ファミマと同様に店舗の値引き自体は帰省していない。
しかしながら公正取引委員会の調査によると、「本部社員から値引きすると契約を更新しないと言われた」など、店舗の12%が直近3年に値引きを制限されたことがあると答えていることが明らかとなっている。
「値引き販売するためのシステムや手続きに問題があるといった報告もある」ことも公正取引委員会が明かした。
さらに24時間営業する店舗が縮小したことも値引きの容認につながったとみられている。
ファミリーマートでは、店舗が24時間営業するかを選べる制度を3月に導入。現在では約1万6,000店舗中1割を占める1,600店舗が深夜営業をやめている。時短営業になると商品を売り切るために値引きの必要性が高まる。
またローソンでは値引き販売に関し、利用者の購買履歴とスマートフォンの位置情報を活用し、値引き販売の情報を利用者のスマホに配信する実証実験に取り組んでいる。
2021年中に全店に広げることなどを公正取引委員会への報告に盛り込むという。
食品の廃棄が減少するというメリットも
値引き販売が増えることで食品の廃棄が減少するというメリットもある。
しかし現在多くのコンビニでは食品などの廃棄費用の大半を店舗が負担する仕組みで、公正取引委員会でもこの点について問題視しているものの、ファミリーマートとローソン、セブンイレブンの大手3社ではこの仕組みは変更せず維持される見通しだという。
公正取引委員会によると、1店舗当たりの廃棄費用は中央値で年間467万円と店舗の営業費用全体の2割もの割合を占めている。
コンビニ本部の多くは、実際に売れた商品の原価から割り出した店舗の利益の一部をロイヤリティーとして受け取っている。ロイヤリティーを算出する際に廃棄した商品の原価は加味されないため、本部側に有利な仕組みであるとされている。
一方でミニストップでは9月に、廃棄費用と人件費を店舗と本部側で折半し、残った利益を店舗と本部で分け合う方針を発表しており、コンビニによって対応が分かれそうだ。
コンビニのフランチャイズモデルの在り方が問われる中で、公正取引委員会がさらに踏み込んだ対応を求める可能性少なくない。
またセブンイレブンでは、3月に各店舗の発注システムに本部社員がアクセスできないようにシステムを更新している。30日には全国のオーナーが利用できる専用の電話相談窓口を設けるなど、本部社員による無断発注の防止やオーナー支援の対応策を盛り込んでいる。
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