ENEOSが営農発電を支援

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農地の上に太陽光パネルを設置する営農発電(ソーラーシェアリング)が拡大しつつある。一方で営農発電には、日照を遮ることから農作物の選定が難しいといった課題があったが、この問題を乗り越えようとしているのがENEOSホールディングス(HD)などの企業である。

大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)に適切な土地が減少する中、再生可能エネルギーを増やすための新しい手法としての参入も相次いでいる。

農地を活用して発電する営農発電とは

営農発電は、農地に支柱を立てその上に太陽光パネルを設置することで、農業と発電の一石二鳥を狙っている。農家は作物による収入のみならず、固定価格買い取り制度(FIT)を利用した売電収入が得られる。

営農発電を始める場合には、支柱とそれに接する農地を一時的に転用する必要がある。農地の累計の転用許可数は、2013年度には96件であったものが2018年度には1,992件にまで拡大した。

営農発電の許可が下りた農地の面積は2013年から2018年の間に19.4ヘクタールから560ヘクタールにまで拡大している。一方で地方の建設会社やサービス会社が手掛ける例が多いため、事業拡大が難しいという課題も抱えていた。

 

そんな中、全国展開を目指すのが、営農発電を手掛けるENEOSホールディングスの子会社であるENEOSイノベーションパートナーズだ。

ENEOSイノベーションパートナーズは10月に宮崎県新富町と低炭素・循環型のまちづくりで提携したほか、2019年に出資した営農発電スタートアップの「アグリツリー」などと発電設備を設置、作物の選定を始めていた。

アグリツリーは2018年に設立した会社で、長崎県佐世保市にあるハウステンボスなど4か所において、合計200キロワットの営農発電に取り組んでいる。

ENEOSホールディングスは、さらに別で出資している農業機械のスタートアップである「アグリスト」の技術を用いて、発電とピーマンやキュウリといった野菜を自動で収穫するシステムを組み合わせる計画だという。

 

営農発電はFITで売電収入を得るビジネスモデルが一般的だが、ENEOSホールディングスなどでは太陽光パネルによって発電した電力を収穫機会に用いることで、農業の効率化を図る。同社ではすでに山口県で営農発電を手掛ける「有機の里」とも実証実験を行っている。

また農家には太陽光発電の知見が、発電事業者は農業の知見がなく参入障壁となっていたが、関連ノウハウを提供や仲介も増加している。

ウエストホールディングスもJAと業務提携

太陽光発電施工大手の「ウエストホールディングス」は、2019年に農林中央金庫と営農発電促進に向け業務提携し、各地のJAからの紹介で、営農発電を検討する農家と工事契約を結んだ。

現在すでに30のJAと契約し、約130の農家から受注している。

さらにウエストホールディングスは、11月から広島大学と共同で営農発電に適した作物の研究開発も開始した。パネルで光が遮られても育てられる大麦や薬草といった農作物が対象で、ナスや白菜などについても研究が進んでいる。

荒木健二事業戦略本部長は「パネルの下で作物が育つのかという農家の不安を払しょくしたい」と今後の方針について語った。

 

さらに営農発電は、自立型の農家につながる可能性もあるという。営農発電コンサルティングの「千葉エコ・エネルギー」は、農地のパネルで発電した電力を蓄電池に貯めることで、草刈り機といった道具に使用する実証実験を始めている。

今後は畑の上を走行できる電動トラクターなどにも拡大させる方針だ。二酸化炭素の排出量が多いとされる農業の低炭素化も目指している。

 

同社では自然災害の発生時に電気自動車(EV)などに電力を供給することも検討している。同社のケースでは、出力キロワットのパネルを1,300平方キロメートルで整備した場合、建設費は1,600万円程度かかり、加えて管理費も発生する。年間の売電収入は約200万円で、10~12年で回収できる見込みだという。

2030年度には原発4基分の発電量を目指す

新電力事業を展開する「みんな電力」は2021年度を目処に、農業や発電事業者に対して営農発電のノウハウを提供するコンサル事業を始める方針だ。

提携先の発電所に発電事業者や農家を招き、発電設備を見せることで効率的な発電・栽培方法を紹介する。

また発電事業者が事業を行う土地が決まっている場合には、みんな電力の担当者が現地で設備の設置方法を助言するという。栽培する作物は小麦などを想定しており、発電した電力を買い取る。

コンサル料金などは今後詰める予定で、発電事業者が栽培した野菜はみんな電力がネットで販売することも検討している。

 

営農発電は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも政府民間ともに関心が高い。

太陽光発電コンサルの「資源総合システム」によると。国内の営農発電の累積導入量は2019年度の50万キロワットから30年度に原発4基分に相当する約398万5千キロワットに達する見込みだ。

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