2021年度の与党税制改正大綱が発表

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2021年度の与党税制改正大綱が発表された。今回発表された税制改正大綱では、新型コロナウイルの感染拡大の影響で、苦境に立たされている経済活動を支えながらアフターコロナの経済成長につなげるために、デジタル環境の重視を柱に据えている。

クラウド活用で起業のDXを促す

2021年度の税制改革では、新型コロナウイルスの感染拡大で浮き彫りになったデジタル化の遅れに対応するために、企業に変革を促す優遇策を整備した。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進めるための設備投資やソフトウェアの研究開発にかかる費用について、法人税から控除できるようになるという。

具体的には、DXに向けた設備投資のうち最大5%を法人税から控除する税制を新設し、クラウドシステムを通じてデータを共有することで新たなサービスの立ち上げや業務の効率化につながる企業を支援する。

 

またソフトやIT危機への投資計画を国が認定する仕組みとすることも盛り込まれた。優遇を受けるためには、

  • 売上高の0.1%以上を投資すること
  • サイバーセキュリティ―監査
  • DXによる生産性向上の達成目標を示す

といった要件を満たす必要がある。

 

コロナ禍において人と人との接触を避けるため、在宅勤務などのデジタル化も急がれる。

電子情報技術産業協会が10月に発表した調査によると、DXに取り組む日本企業は全体の28%で、アメリカの55%の半分ほどの水準にとどまっている。突貫工事でDXを進めた結果、社内外で円滑にデータの共有ができず、収益が伸び悩む原因になっているという見方もある。

 

ほかにも、研究開発にかけた投資額を法人税から控除できる研究開発税制の拡大も盛り込まれ、クラウド向けのソフト開発を控除の対象に加える。

従来であれば、ソフトをパソコンにインストールして使う手段が主だったが、人工知能(AI)や自動運転の制御といったサービスをクラウド化することで、外部に提供する手法が増加している流れに対応する。

さらにDXに取り組む物流や金融など幅広い業界も恩恵を受けられるようになる。具体的にはAIで効率的な物流網を築いたり、銀行がAIで与信審査をしたりするソフトの研究開発を想定する。

 

こういった優遇策に共通している点は、クラウドの活用を条件としている点にある。

かつて日本企業の多くは部門ごとに異なるIT投資を進めた結果、縦割りで硬直的な「レガシーシステム」が構築されてきたという背景がる。老朽システムの維持には人員やコストがかかるため、セキュリティー面の不安も大きい。

 

一方で、クラウドなら社内外でシステムの連携やデータ共有がしやすくなるというメリットもある。企業全体でDXを経営戦略に位置付けるとともに、政府の支援策を活用して、一貫性のある柔軟なシステムに移行するよう促すという。

また研究開発税制をめぐっては、新型コロナの影響で売上高が一定程度減少した企業を対象に、控除の上限も最大45%から50%に引き上げる。収益が下がり本体の法人税額が減少することで、税額控除で受けられる恩恵も少なくなる。

そのために、控除上限を引き上げることで、コロナ禍においても投資意欲を損なわないようにする。

家計に配慮し、住宅ローン減税特例は延長

住宅ローンにおいては、13年間控除を受けられる特例が2年間延長される。2022年末までの入居が減税を受ける条件になり、対象となる物件の範囲も拡大されるという。

マンション、戸建てともに、現行の床面積50平方キロメートル以上の基準を40平方キロメートル以上に下げる。50平方メートル未満は1千万円の所得制限を設ける。

住宅ローン減税は4,000万円を上限に年末の借入残高の1%を所得税額が買控除する仕組みで、13年間の控除が受けられる特例は2019年の消費税増税に伴い導入されていた。

 

これまでの制度では2020年12月までに入居した場合が対象だったものの、今回の発表で2022年12月までの入居を住宅ローン減税の対象とすることが明らかとなった。契約の期限は新築注文住宅が2021年9月末、マンションや中古住宅などは2021年11月末までとなる。

現行制度においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で2020年12月末となっていた入居期限に遅れた場合には2021年12月末までに入居するなどの一定の条件を満たせば、同様の特例を認める措置を導入していた。

 

また13年間の控除特例を受ける際の床面積の要件を、これまでの50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和し対象を広げる。これは夫婦だけの世帯や単身の世帯の増加など、家族のカタチが変わってきていることが背景にある。

これまでは3人以上の家族などを前提歳、3LDKの物件を想定してきたものの、ニーズの多様化に伴って、小規模物件も対象となる。これによりさらに小さい物件でも住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなった。

一方で資金力のある高所得層まで税優遇するのは望ましくないという判断から、50平方キロメートル未満の場合は1,000万円の所得制限を設ける方針だ。

 

2020年の新築住宅の着工戸数は減少傾向が色濃く、2008年のリーマン・ショック直後に並ぶ停滞を示しているという。政府は住宅ローン減税の特例を延長することで住宅市場の活性化につなげたい考えだ。

しかしながら会計検査院から、住宅ローン減税の1%控除は低金利時代に合わないと問題視しているという。過度な恩恵を受ける人が出る可能性があるため、2022年度以降の見直しが検討されている。

 

さらに税制改正では、子や孫への住宅資金の贈与にかかる贈与税について、上限1,500万円以上の現在の非課税枠を2021年12月末まで保つことにすることが決まり、非課税枠は2019年の消費増税に合わせて3,000万円まで拡大された。

2020年4月に1,500万円に縮小し、2021年4月以降は上限を1,200万円に引き下げる予定だった。住宅ローン減税の特例と併せて、住宅需要を下支えする考えだという。

非課税枠が最大で1,500万円となるのは耐震や省エネといった性能に優れた住宅で、一般住宅においても非課税枠も1,000万円の上限を据え置く。

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